糸洲十訓

　糸洲先生は、Anko Itosuとして世界に知られている。首里手系統の先生としては、創始者の松村先生をはるかに超える有名人である。
　そして糸洲十訓と呼ばれる文書が残っている。糸洲十訓は外国では特に有名な文書で内容もよく研究されているが、日本本土では一部の人しか関心を持たないようである。これは日本では大衆が空手を学ぶが、欧米では知的好奇心が強い知性の高い人たちが多いという事情もあるだろう。

　しかし、私が感じるのは「十訓」と言う言葉から、実技的な内容ではなく教訓書と受け取る人が多いからではないかと言うことである。実際は教訓書と言うよりも技術指南書と言う側面が強い。

　金城先生は、空手の原点は糸洲十訓だとして、分からないことがあれば糸洲十訓から学ぶと言う姿勢だった。私も長年糸洲十訓のお世話になった。

　ここでは糸洲十訓の原文と訳文（金城裕）および英訳（Bob　Macmahon氏と私の共訳）をご紹介しようと思う。